ステップワゴンは全車にホンダセンシング(HONDA SENSING)が標準装備されています。
これは8つからなる安全装備のパッケージ。
具体的には、それぞれどんな機能なのでしょうか?
安全装備はメーカーごとにネーミングが異なったりしますが、基本は同じ。
一度理解しておくと他車種のカタログを見るときも役立ちます。
国が行なっている試験ではどんな評価になっているのか、今後期待したいのはどんなことかについても説明しています。
ステップワゴンに搭載されるホンダセンシング
ホンダセンシングの検知システム
ホンダセンシングは「ミリ波レーダー」「単眼カメラ」を合わせた検知システムを採用しています。
ミリ波レーダーは従来よりも性能がアップし、単眼カメラは前方60mまでの歩行者や物体を識別します。
レーダーにはミリ波以外に、より低コストで済む赤外線レーザーなどもありますよね。
ではステップワゴンにおけるホンダセンシングの内容をみていきましょう。
衝突軽減ブレーキ
いわゆる「自動ブレーキ」といわれるやつです。
ホンダセンシング ではCMBS(Collision Mitigation Brake System)と表され、これはホンダが開発した衝突軽減ブレーキです。
前走車に加えて歩行者も検知でき、さらに対向車との衝突回避も支援します。
少し詳しく説明しますね。
作動条件
ホンダセンシングの衝突軽減ブレーキは、約5㎞/h以上で走行中、約5㎞/h以上の「速度差」がある前走車、あるいは歩行者に対して作動します。
また約80㎞/hまでで走行中の対向車、あるいは歩行者に対しても作動。
この条件のもと、「段階的に」被害軽減のための支援を行います。
具体的には次のとおりです。
①衝突するおそれがあるとき
まだある程度対象物から距離がある場合です。
このとき音とディスプレー表示により警告を出し、かつアクセルペダルも振動させます。
②①よりさらに接近
①よりもさらに距離が縮まった場合です。
この段階にくると軽いブレーキングまで行い、シートベルトも軽く引き込ませ被害にそなえます。
①よりも1段階強くした警告を与えます。
③衝突回避・被害軽減の実施
もうぶつかる!という、さしせまった状況。
ここまでくると、強いブレーキングとともにシートベルトを強く引き込みます。
被害を軽減する積極的な段階までくると、このような「自動ブレーキ」が作動します。
ブレーキングは1秒のタイミングが命取りになりかねないので、いざというときは頼りになりそうです。
そんな場面にでくわさないのが一番ですけどね。
誤発進抑制機能
誤ってアクセルペダルを強く踏み込んでしまった場合に作動し、飛び出しを防ぎます。
停車時や10㎞/h以下の低速走行時、ミリ波レーダーが前方の近距離にある車などの障害物を検知し、急加速をおさてくれます。
音とディスプレーでドライバーに注意を促します。
ステップワゴンにはありませんが、アクセルペダルへの振動でも警告を出す「リアクティブフォースペダル」を装備しているホンダ車もあります。
ちなみに、この誤発進抑制機能は前方向に対するブレーキ制御ですが、日産セレナの自動ブレーキは後ろに対する踏み間違い衝突防止アシストまで装備しています。
歩行者事故低減ステアリング
歩道を歩く歩行者との衝突回避支援です。
たとえば、運転中にふらついて歩行者側の車線を逸脱してしまい、歩行者と衝突しそうになってしまった場合。
音とディスプレーで警告するとともに、車道の方向へステアリング(ハンドル)操作を支援してくれます。
ダメなんですけど、眠たくて一瞬意識がとびそうなときってありませんか。
そんな、いざってときに役立ってくれて最悪な事態を回避してくれるでしょう。
路外逸脱抑制機能
少し注意が逸れてクルマが車線をはみ出しそうになったとき、車線の内側へ戻すよう支援してくれます。
ナビを見たり脇見をして、ついふらっとなったときも助かりそうですね。
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
最初これをみたとき何のことか全くわかりませんでした。
「ACジャパン?」「ECC?」
そうじゃありません。
これはあらかじめ設定した速度を自動で保って走行してくれる機能なんです。
前走車との適切な車間距離をキープしてくれ、主に高速道路での長距離移動のときなどに役立ちます。
この、あでゃぷてぃぶくるうず…なんやらかんやらは、ステップワゴン・ハイブリッド車の場合、「渋滞追従機能付」となります。
通勤で国道を走っているとよく事故があって、ヤバイほど渋滞することが少なくありません。
が、そんなときも小刻みにストップ・アンド・ゴーを繰り返すストレスから解放されます。
前走車が止まったら自分のクルマも自動で止まってくれます。
ただ、前の車が走り出したら自分でスイッチ操作かアクセルを踏まないと追従走行を再開できません。
そんなときは次の機能が役立ちます。
先行車発進お知らせ機能
前走車の発進を音とディスプレー表示で知らせてくれます。
渋滞のときって前の車が進んでいるのに気づかないシーンをよく見かけますし、自分もしてしまいがち。
そんなときにいいですよね。
車線維持支援システム(LKAS)
LKASはレーンキープアシストシステムのことです。
高速道路を走行するとき、車線の中央付近をキープするようステアリングをアシストしてくれます。
長距離の高速道路走行では、特にそういうドライブにあまり慣れていない人には嬉しい機能です。
もし車線をはみ出しそうになってもステアリングが振動して、操作も支援して車線中央に戻すよう助けてくれます。
標識認識機能
道路標識をディスプレーに表示して知らせてくれます。
単眼カメラによって適切なタイミングで標識を教えてくれるので、慣れない住宅街で一方通行の通りへの誤って侵入するなどの危険を回避するのに役立ちそうです。
初めての道って、こんなんわかるかいなっていう構造にたくさん出くわすので、そんなとき少しでも助けになってくれると嬉しいです。
以上がステップワゴンに標準装備されるホンダセンシングの内容です。
では次は、これに対する国の評価をみてみます。
ステップワゴン・ホンダセンシングへの評価
ステップワゴンに搭載のホンダセンシングはどんな評価がされているのでしょうか。
「予防安全アセスメント」では次のような評価がされているんです。
ステップワゴンは「ASV++」獲得!…てどういう意味?
出典:JNCPサイト
予防安全アセスメントは独立行政法人「自動車事故対策機構(JNCP)」が行っている、車の安全性能への評価です。
よくWebカタログなどにも書いてある「ASV++」とかっていうのもこの機構が決定しているものなんです。
ステップワゴンはまさにその「ASV++」という評価を、2017年度に獲得しています(スパーダ・ハイブリッドG)。
ちなみにASVはAdvanced Safety Vehicle(安全自動車)のこと。
JNCPとステップワゴンの評価
ASVの評価にはどういうふうに決められているかというと次のような指標があります。
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ASVの評価基準
被害軽減ブレーキ(対車両と対歩行者)
車線逸脱抑制
後方視界情報
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これがステップワゴンがASV++をとった2017年の基準で、2018年ではまた項目が追加されています。
被害軽減ブレーキはホンダセンシングにおける衝突軽減ブレーキと同義と考えてください。
このそれぞれの項目でテストをして点数化します。
その合計によって「ASV+」「ASV++」と決められます。
ステップワゴンはASV++で、得点は79.0点中64.6点です。
参考までに他の車種でもみてみると、日産セレナは2016年で71点中71点、日産リーフは2017年で79点中79点。
ステップワゴンは対歩行者の被害軽減ブレーキが低めとなっていますね。
比較的安価で手に入る安全装備としては上出来だと思いますが、課題もあるわけですね。
今後ステップワゴン・ホンダセンシングに期待したいこと
今後、ステップワゴンのホンダセンシングに期待したいのは次のこと。
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オートハイビーム
後方後発進抑制機能
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これらが今のステップワゴンにおけるホンダセンシングには搭載されていません。
オートハイビームなどはセレナやトヨタヴォクシーでは標準で設定されているものです。
後方後発進を抑制できれば、アクセル・ブレーキの間違いに加え、それらとバックの間違いにも対応できます。
セレナではオプションで設定できるようになっています。
コンビニのガラスを突き破るような事故もよく聞くところですが、バックのときも多いでしょうし、前進時に加え後退時にも対応するのは大きな意味があると思います。
今後に期待です!
ステップワゴン・ホンダセンシングの評価まとめ
繰り返しですが、ホンダセンシングは予防安全性能のパッケージで8つの機能からなります。
全車標準装備なのは競合車セレナ・ヴォクシーでは実現しておらず、ステップワゴンだけ。
オプションでホンダセンシング以上に充実した装備をつけることもできるセレナですが、その分かなり価格は高くつきますよね。
それを思えばステップワゴンのホンダセンシングは、コスパ高めだと思います。
今後さらに充実して、オートハイビーム、後方後発進抑制も加え10機能のパッケージとなることに期待。
それでは最後までお読みくださりありがとうございました。
✳︎画像の出典は、記載のあるもの以外はすべてhttps://www.honda.co.jp/hondasensing/より